iPadの「写真」標準アプリにみる「ジェスチャー指向UI」と「連続的UI」

さっきiPadにはiPad専用のアプリが必要で、すでにiPhoneアプリがある場合は、それをiPad用にリデザインする必要があることを書いた。
琴線探査: iPadにはiPad専用のアプリが必要だなぁ

では、いかにリデザインすればいいのか?

その好例は、標準の「写真」アプリだろう。「写真」アプリはiPhoneでもiPadでも、写真を見たり、管理したりという同じ目的を持つ。しかし、ディスプレイサイズが変われば、別の形になる。

例えば、写真アルバムのリスト表示。iPhoneでは画面が小さいためリスト式だ。その内容を表示する時はドリルダウン式で画面が遷移する。


一方、iPadではタイルリスト式だ。内容の表示はタップ、もしくはピンチアウトで、これはなんと言うのか・・・スプレッド式?


確かに、このUIはiPhoneでも実現できなくはないけど、狭い画面とユーザーの使い勝手を考えれば採用しづらい場合も多い。

しかし、iPadでは広い画面を生かしたこのUIの採用によって、実際にサムネール表示をするまでもなく、そのアルバムの大まかな雰囲気を素早く見ることができるようになった。また、「アルバムを開く・広げる」という意味がピンチアウトの操作と重なり、より直感的なUIとなっている。しかも、これは次の完全なサムネイル表示状態への中間状態だ。


このUIは2つの特徴的なUIデザインコンセプトを示していると思う。

1つ目は「非ボタン指向・ジェスチャー指向UI」。ボタンという「点」でなく、ジェスチャーという「面」を使うんだ、と。デジタルとアナログの差とも言えるかもしれない。デジタルでありながら、操作が連続的でアナログに近いという感じだ。iPadが持つ広い画面によって、より様々な場面で採用しやすくなった。

2つ目は「連続的UI」。普通は画面全体をトランジションなどで一気に切り替えるけど、このUIでは意味を伴いながら連続的に切り替えていく。つまり、UIに時間軸が加わっているということだ。iPadが持つ広い画面と高速さが、このUIを効果的にしている。使いどころを選べば、ユーザーはより直感的と感じるだろう。設計にあたっては、映画やアニメのような絵コンテが必要かもしれない。

これらのUIコンセプトは、iPadだけに限らず、UXに対して非常に重大なインパクトをもたらすと実感した。

また当然、iPhone用のアプリをiPad用にリデザインする時の重要なキーワードだと思う。

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