「色とかたち 写真=石元泰博」にインスパイアされた多重露出(露光)カメラアプリを考える

前に多重露出をデジタルでシミュレートするアプリを考えていたが、最近また気になってきた。そんな時、幸運にも前から気になっていた石元泰博氏の多重露出の写真集を図書館で見つけた。


アプリの魂

・・・「何が出てくるか分からないから面白いのよ・・・」と、石元氏が語るように、多重露出による偶然性から生まれ出る表現が、人知を超えた美の世界を表出させている・・・

「何が出てくるか分からないから面白い」これがこのアプリの魂だろう。だからこのアプリはレタッチソフトにしてはいけない。

当初はFlashで作ることを考えていたが、やっぱりカメラがないとダメだ。そうでないと、単なるレタッチソフトになってしまう。そこから出てくる画像は多重露出写真ではなく、きっと単なる合成写真だろう。


カラーフィルター

シャッターを押すたびにカラーフィルターを変えて撮影しているようだ。カラーフィルターをつけて多重露出した写真は、写真でありながらカラフルな絵画のようだ。まさに「真を消した写真」。

シャッターを押す前に素早く簡単にカラーフィルターを付け替えられる機能があるとおもしろそうだ。


光のエネルギーを集める感覚

露出というのは、フィルムに光のエネルギーを集めることだと表現することもできるだろう。アナログのカメラではシャッターを開ける時間で集めるエネルギーの量をコントロールする。

アプリではこれをどう表現できるだろうか。画像をシャッターを押している間だけ透明から不透明に近づけていくとか?波動砲や元気玉みたいに、次第に光のエネルギーが集まってくる感覚を出したい。


画像を重ねるモード

画像を重ねる時には単なる通常のアルファコンポジットでいいのか?スクリーンやオーバーレイモードも試してみる必要がある。もしかすると撮った後に描画モードを簡単に選択出来るようにした方がいいかも。


時間軸と空間軸を簡単に含められるように

多重露出写真は一枚の画像で空間軸と時間軸も含める事ができるようだ。つまり必ずしも同じ場所で同じ時間とは限らない。違う場所で同じ時間、同じ場所で違う時間、違う場所かつ違う時間のバリエーションがある。これは多重露出写真を不思議に感じる一つの理由だろう。

アプリではどう表現できるだろうか。アナログのカメラならフィルムを巻かなければシャッターを押すことでいつでも画像を重ねることができる。一方、アプリだと基本的にはアプリが起動している間でしか撮影できない。

そこで、撮影した画像をアプリ内部に一時保存して、次回起動時にその画像を使えるようにすればよさそうだ。こうすれば3日ごしで出来上がる写真とか、北海道、東京、沖縄の3地点を多重露出とかも可能になる。

前の画像を使いたくない場合は、フィルムを巻く操作を真似したらおもしろいかも。


「色を撮る」 - 石元泰博

・・・多重露出の手法は簡単、はじめに好きなシルエットを撮影し、同じフレイムにさらに二度三度、時には四度、街の雑多な色から気に入ったものを探し出しては撮り重ねるだけのこと・・・しかし、この撮影は撮らねばならぬといったものではない・・・いわば終りのない私と色とかたちの遊びなのである・・・ジャン・コクトーが”偶然の出来事からしか美は生まれてこない”と言ったというが、よくぞ言ってくれたというものだ。仕上がったフィルムを眺めながら、半分は神様のお助け、と心底思う(神様のお助けの確率は決して多くはないのです、念のため)・・・結果がどうなるかわからないものに、挑み続けるのはしんどいけれど、面白い。だからやめられない。・・・

多重露出写真は、出てきた画像の良し悪しよりも、それを撮り続けるという生き方自体が重要なのかもしれない。

多重露出写真になんとなく惹かれたのも、この「結果がどうなるかわからないものに、挑み続けるのはしんどいけれど、面白い。だからやめられない。」という根底に流れる意識のせいだったのかもしれない。

「多重露出写真を撮り続けるという生き様」を表現するためにはどうしたらいいだろう。写真共有サービスにアップしたらある程度表現できるだろうか。

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