2010年6月30日水曜日

YouTubeがまだFlashからHTML5に完全移行できない理由 | YouTube API Blog: Flash and the HTML5 <video> tag

YouTube API Blog: Flash and the HTML5 <video> tag
・・・YouTube videos can now be played via our HTML5 player. This work has shown us that, while the <video> tag is a big step forward for open standards, the Adobe Flash Platform will continue to play a critical role in video distribution.・・・ there’s a lot more to it than just retrieving and displaying a video・・・but the <video> tag does not currently meet all the needs of a site like YouTube・・・it does not yet meet all of our needs. Today, Adobe Flash provides the best platform for YouTube’s video distribution requirements・・・

追記:Tech Crunch JapanでもこのYouTubeのブログ記事についての記事が出た
YouTubeがあらためてFlashとHTML5ビデオの比較論を展開–HTML5はまだ劣勢 - Tech Crunch Japan

YouTubeがなぜかFlashの重要性を説いている。今後のFlashとネット動画シーンの動向を考える上で重要だと思うので、ちゃんと読んでまとめておこうと思う。

YouTubeではHTML5 Playerをつくってみたけど、そのおかげでFlashの重要性を再認識したそうだ。YouTubeはただビデオを再生できること以上のことが必要で、それらの全てのニーズを満たすにはFlashがベストだ、と。

その理由として・・・


Standard Video Format
2007年からH.264をサポートしてきたけど、権利問題がある。GoogleはWebM(VP8)をオープンソースにして、YouTubeもサポートし始めたし、Flashもこれをサポートする予定。

Robust video streaming
ただビデオを初めから再生できるだけでは十分でない。途中からも再生できる必要がある。完全な映画の提供やライブストリーミングビデオを考えても、バッファリングとダイナミッククオリティーコントロールが重要(HTTP, RTMP)。Flashはこれをサポートするけど、HTML5はストリーミングプロトコルをサポートしていない。

Content Protection
「YouTube Rentals」(オンデマンドビデオレンタルか?)ではセキュアなストリーミングが必要。FlashはRTMPEでこれを実現している。

Encapsulation + Embedding
YouTubeではビデオを再生するだけでなく、キャプション、アノテーション、広告表示を含めて他のサイトにエンベッドする必要があるけど、これを可能にする技術は今のところFlashだけ。

Fullscreen Video
特にHDクオリティーのビデオはフルスクリーンが欲しくなるけど、ピュアHTMLではこれができない。フルスクリーンをサポートするブラウザもあるけど、javascriptからその機能を使えないし、ページの一部(ビデオ部)だけフルスクリーンにする機能はない。Flashはこれができるだけでなく、ハードウェアアクセラレーションも使える。

Camera and Microphone access
ビデオチャットやライブストリーミングにはWEBカメラとマイクへのアクセスが必要だけど、ブラウザからこれらにアクセスできるのはFlashだけ。HTML5も検討を始めたようだけど。


追記:「Flashだけ」と書いたけど、MSのSilverlightも同様な機能を持つかもしれない。ただ普及度やその他の状況を考えると、事実上は間違いではないと思う。


こういったことがYouTubeがいまだFlashを使っている理由だ、と。

確かにその通りだ。GoogleもYouTubeもHTML5に多大なコミットをしている。しかし、現状ではまだFlashを置き換えるには力不足ということだろう。

問題は、HTML5がFlashを置き換えるほどの力を持つのが何年後なのか?だ。GoogleやYouTubeがこの調子だと、やはり少なくとも数年はかかると思われ。

今こういった記事を出すということは、先ごろAndroidでFlashのサポートが始まったこともあり、Apple、iOSへの牽制の意味もあるのだろうか。

Appleは様々な理由から理想を貫いているように見えるけど、Google、YouTubeは同様の理想を持ちつつも、より現実的な選択をしていると思う。できれば、iOSでもFlashをサポートして欲しかった。しかし、今となってはもう望むべくもないだろう。

Apple、Jobs氏がFlashを排除する理由もわかる。
琴線探査: 良い悪いは別として、とにかくJobs氏はWEB界における政治判断を下したんだなぁ | Thoughts on Flash - Steve Jobs

しかし、ここへきてまた考えた。

WEBに必要なのがFlashなのかHTML5なのかを決めるのはユーザーや開発者であり、一つの会社ではないのじゃなかろうか。もしどちらかが必要なくなるのならば、自然と淘汰されるだけだ。

確かにiOSはAppleのものだ。どうしようと勝手だ。しかし、ここまで大きな勢力になった以上、世界のWEBシーンに対する影響も是非考慮していただきたいものだ。

そうすることがユーザーや開発者の利益につながるだけでなく、Apple自身の利益にもつながると思うのだけれど。