藤城清治の影絵@銀座「教文館」まとめ

人造乙女

琴線探査: オリエント工業「人造乙女博覧会Ⅳ」(おさわり可)@ヴァニラ画廊へ行く

を見に行く道すがら、教文館で藤城清治の展覧会をやっているのを目にした。


教文館といえば、先日皇后陛下も来られた場所だ。行くしか無かった。

皇后さま、世界の絵本展に 銀座の書展「教文館」 - 47NEWS(よんななニュース)

この展覧会は何と撮影自由!みんな撮影しまくってた\(^o^)/


スマホのカメラだとどうしても音が鳴ってしまうが、藤城清治氏のこの意向の表明によって皆心置きなく撮影することができた。90歳のおじいがネットでの拡散を予期しているわけで。初っ端からすごいなと思った。

まず、藤城清治の描く動物は皆かわいい。


影絵はそれ自身が光っているので、絵画を撮影するよりも凄くハッキリと写る。


藤城清治はじめての作品。銀座のビアホールの広告だ。


ミュシャもパリでよく広告ポスターをやっていたそうだが、それは単なるポスターで影絵ではない。この先進性。そして、はじめての作品にしてこの背景のぼかし。

藤城清治の代表作。影絵の光の美しさがストレートに出ている作品だと思う。


藤城清治の作品は、写真的なぼかしとフォーカスがポイントだと思う。


ぼかしはすりガラスかアクリル素材的なもので実現されているように見える。



背景をぼかすだけでなく、ぼかしの素材をピンポイントで薄く削ることによって、写真でも難しい自由自在なフォーカスを実現しているように見える。


フィルター的エフェクトも。


この影絵の細部を見てみると、このようなストッキング的な網を全体にかぶせていることがわかる。これが写真プリントの絹目仕上げのような独特な風合いをつくっていた。


うさぎの毛皮の表現。どれだけ細かい作業が必要なことか。


白黒のクラシックな影絵もかっこいい。


水面に映る鏡面反射の表現。


煙の表現。


煙は何と綿で表現されている。


ヤマハのビルにあるという影絵。こんなのがあったらさぞ素敵だろう。


水面のハイライトの表現。絵画では白が限界だが、影絵では光そのものであるために非常に明るい。


複雑なレイヤーを用いた幻想的な光の表現。photoshop的なことをアナログで行っていると思われ。


トンボの飛行軌跡の表現。


3DCGでいうところのLOD(Level Of Detail)。アナログで。


藤城清治は無類の猫好きだそうで。それを知ってか、彼の元には赤ちゃんポスト的に猫が集まって来るらしい。そんな猫たちを描いた作品。ジャイアンのようにマイクを持った猫がかわいい。猫愛に満ちている。今回のベスト3のひとつ。


猫ものと言えばこの「猫相撲」。みんなかわいい。


「We are the world」の影絵も。マイコーIN THE HOUSE YO!


レイ・チャールズIN THE HOUSE YO!


今回のベスト3のひとつ。天岩戸。藤城清治の影絵は神話を表現するのにピッタリだと思う。


そのキャプション。


今回のベスト3のひとつ。昭憲皇太后。気合と執念を感じた。


その手書きのキャプション。明治天皇と昭憲皇太后は日本人の心の中心となったと。また、「全身全霊をかけた」とおっしゃっている。


最後はこれ。気仙沼の共徳丸の影絵。


90歳になる藤城清治が現場に赴きスケッチして作品を完成させた。このパワー!自分は彼の半分も生きていない。その程度で「歳をとった」と嘆いている場合か?

結論:那須の藤城清治美術館に行くしかない。

藤城清治美術館 那須高原

コメント

  1. 写真家の方の観点からの影絵解釈が、あまりにも新鮮で目からウロコです。
    遠景の霞み方は空気遠近法だとばかり思っていたんですが、写真のぼかしに当たるものだったとは!
    そのほかにも、なるほど!と思わされることがいくつもあって、非常に感動しました!!
    本当にどうもありがとうございますm(__)m
    https://ameblo.jp/lightandshadow7111/

    返信削除

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