2010年9月26日日曜日

中国人船長釈放の世界の反応で日本の立ち位置を考える | 中国人船長釈放へ 海外メディアも速報 - 日経

日経10.09.25朝

・・・いずれも大きく取り上げ、国際社会も展開を注目していたことを印象づけた・・・しばしば中国漁船の拿捕事件が起きるフィリピン・・・日本の事件にも関心が高かった・・・・・・

「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」とは、問題の中国の兵法書「孫子」の言葉だが、その通りだと思う。

争いごとを解決するには、自分のことも相手のことも冷静に見る必要があるが、それに加えてその周囲のことも冷静に見る必要がある。つまり、この問題の場合は海外の反応だ。

気になっていたのだけれど、そこまで調べ上げる能力も時間もない。しかし、日経がそういった自分のような人の役に立つ、素晴らしい記事を書いてくれた。

かなり引用することになるけれど、海外の反応を一覧してこの問題をより深く考えるため、まとめておこうと思う。

中国の反応に関しては、すぐ下にあった北京の尾崎実氏の記事『中国ネット「当然の結果」当局への批判も』のものだ。


韓国 日本は中国に降参

「日中間の葛藤は日本の降参宣言で幕を下ろした」(総合ニュース)

確かに。残念ながら、そう言われても仕方ないと思う・・・



韓国 日本は圧力に弱い

「日本経済が中国の報復措置にいかに弱いかを明示した・・・」(総合ニュース)

中国のみならず、韓国をはじめ、世界の国々に「日本人は腰抜け」と思われていいはずがない。

万が一、軍事で負けても、経済で負けても、プライドでだけは絶対に負けてはいけない。



米国 中国はかつて尖閣諸島を日本領と認識

「中国は1969年に作成した機密扱いの公式地図で、尖閣諸島を日本領として扱っていた」(ワシントン・タイムズ)

中国は石油資源があると分かって領土にしたくなったらしい。これは立派な侵略だよ。

そしてこの「1969年」というのは、国連の海洋調査で石油があるとわかった年と重なる。
尖閣諸島領有権問題 - Wikipedia

国としてもひとりの国民としても、残念ながら、もうすでに戦争は始まってしまっていると考えて行動すべきだろう。



米国 日本の外交的敗北

「中国は外交的勝利と位置づけるだろう」(ウォール・ストリート・ジャーナル)

同盟国にそう言われると、つらいです。日本人はもっと、しゃんとしないと。



米国 日本経済は中国依存

「不況にある日本経済は勢いのある中国に依存している」(ロイター通信)

日本にはこんな言葉がある。

「ボロは着れども心は錦」
「武士は食はねど高楊枝」

「レアアースを止められたって、中国人観光客が来なくなったって、金で魂は売らない。断じてSELL OUTしない!」こういった日本人の覚悟が問われていると思う。

今こそ、日本人の武士道精神が問われている気がしてならない。

しかし、この覚悟を貫き通すためには、最低でもエネルギーと食料は自給自足できるようになる必要があるだろう。そしてこれは、今後の日本の成長戦略や、管首相がしきりにおっしゃる「雇用」にもつながると思う。

政治がやるべきことは、本当に大きい。



ドイツ 日本の動きを評価

「両国の関係悪化を避けた」(ツァイト紙)

そうは思えない。ただ、確かに当面のクラッシュは避けたとは言えると思うけれど。



ドイツ 日本人の拘束を問題視

「(日本人の釈放で)争いは終わる」(ハンデルスブラット紙) 

日本政府の戦略のなさを思い知らされる。

中国はバーターするつもりで拘束したのだろうけれど、日本はバーターせずに船長を返してしまったのだから、自らカードを捨てたわけだ。

カードなしで、拘束された日本人を救出できるのか?その自信があるのか?あるなら根拠を示して欲しい。無いなら、まったく・・・ヘタレとしか言いようがない。



ドイツ 中国の民主化の遅れを問題視

「戦後日本が民主主義に転換したことを中国は無視し続けている」(シュビーゲル誌)

世界には色々な考え方の人間がいる。

自分は民主主義はよりマシだとは思うけれど、そうは思わない人がいるのも理解できる。そういう人々に「民主主義が絶対正しい」と押し付けることは間違っている。

そして、今のところ、中国はそういう人々の集まりの国だと見える。しかし、それはそれ。



スイス 日本の苦慮を強調

「中国船は意図的に衝突事件を起こした可能性がある」(新チューリヒ新聞)

可能性はあると思うけれど、日本人の自分ですら実際の事件の真相がいまだによくわからないことが問題だ。

「漁船」と言われているけど本当に漁船だったのか?ただ漁をしていただけか?軍で訓練を受けた半軍人ではなかったのか?政府の命を受けて行動していたのではないのか?

政府は粛々と法に従って対応すると繰り返しているけれど、何をどう捜査したのか?国外退去でもよかっただろうに、なぜ逮捕し、なぜ処分が決まらないまま釈放したのか?これが法に粛々と従った結果か?理解出来ない。



中国 中国外交の勝利

「中国外交の勝利だ。釣魚島(尖閣諸島)に領有権があることを世界に知らしめた」(中国ネット上)

これは裏をかえせば、中国人は尖閣諸島が中国の領土ではないと感じているということであり、世界は尖閣諸島を中国の領土と認めていないとも感じている、ということだと思うのだけど、どうだろう?

少なくとも上の海外の反応を見る限り、海外には尖閣諸島が中国の領土であると認識したような反応はない。むしろ長期的に見て、中国が外交的に本当の意味で勝利・成功を収めたのかどうか疑問に思うくらいだ。

そもそも尖閣諸島を「尖閣諸島」と言ってしまうのが間違いだと思う。あそこは沖縄県石垣市なのであって、彼らの言っていることは、沖縄が中国の領土であると言っていることに等しい。まったくもって、あり得ん。

日本は国際世論の力、とりわけアジア諸国を味方につけて、中国の軍事と経済の拡大を背景とした不当な海洋権益の拡大、いや、侵略に歯止めをかけるべく、先頭に立って行動していくべきだろう。

にもかかわらず、船長釈放でそのリーダーシップや気概が無いことを世界に知らしめてしまったわけだからいただけない。長期的に見れば、こちらの方が日本にとってイタい外交的敗北だ。



中国 関係修復の足場ができた

「日本との経済・技術交流は中国の発展に重要。関係修復の足場ができた意味は大きい」(中国ネット上)

関係修復の足場ができたとは全く思えない。むしろ今回の件で、多くの日本人の中国に対する嫌悪感はより決定的なものとなっただろう。少なくとも自分はそうだ。

それは、できれば中国とも仲良くしたい。しかし、主権を侵すような国とは仲良くできない。

お互いの分をわきまえて大人の付き合いをしてくれさえすれば、中国に嫌悪感や反感を持つつもりはないし、むしろ歴史的に見て、発明や学問などでは尊敬に値するほどなのに。



中国 内政問題隠しだ

「共産党は国民の目を内政問題から外交に向け、統治の正当性アピールを狙っている。だまされてはいけない」(中国ネット上)

中国にもこういう人達がいるようだ。関係修復の足場があるとすれば、それは彼らだろう。

やはり中国にも、言論の自由と民主主義が必要なのではないだろうか。


まとめ

少なくとも上の世界の反応を見るかぎり、中国に対する積極的支持はないと見える。むしろ、日本に対する失望感が大きいと感じる。

日本は自国のため、そして二度と世界に失望感を与えないためにも、自信をもって毅然とした対応をとるべきだろう。