甘やかさない変化の兆し 地道に働く人間を笑う若者 漫画家 福本伸行さん

日経09.10.14夕
・・・賭博漫画「カイジ」の連載が始まった1996年,僕は時代の空気に違和感を覚えた。どう考えてもおかしいのに誰も反応しない。お前ら全然駄目だよ。そう言おうものなら袋だたきにあうから。・・・「嫌なら学校なんて行かなくてもいい。君の人生なんだから」・・・これって健全ではないよと僕は思った。大人はもっと壁であるべきでしょ。・・・人生は勝たなきゃ駄目に決まってるじゃねぇか。そういうことをあまりにも言わなくなった。・・・世間は今厳しいでしょ。・・・そこではいろんな心の持ち方がある。いつでも降りられるという究極の抜け道を持つのも一つのやり方。・・・人はなぜ生まれたのか・・・どこかで勝負をするために生まれたのかもしれないよ。そうであれば頼りは自分しかいない・・・僕は漫画で食えればよかった。上を見ればもっとヒットした漫画家もいるよ。でも僕は,そういうことでやきもきしない。描きたい漫画をどれだけ描けているかという点で,僕は僕なりに幸せだから。・・・

この記事を読んで,SMAPの「世界に一つだけの花」という歌を思い出した。

この歌の「競争で一番になるよりも個性が大事だ」というテーマは一つの真実を示しているとは思うが,どうも時代が言い訳として利用してはいなかっただろうか,と思う。徒競走で順位をつけないなどはその例だ。

曲を提供した槇原敬之さんも,競争を否定しているわけではないし,徒競走で順位をつけないのはバカバカしいとまで言っているそうだ。

福本さんも「人生は勝たなきゃ駄目に決まってるじゃねぇか」といいつつも「上を見ればもっとヒットした漫画家もいるよ。でも僕は,そういうことでやきもきしない」という。

一見矛盾しているように見えるが,つまり,「競争はしなきゃダメだが勝ち方というのは色々ある」ということだろう。さらにいえば「大ヒット=多額のカネ=勝ち」ではなく,「小ヒット=描きたいマンガが描けている+食える程度のカネ=勝ち」ということだろう。

しかし「大ヒット=描きたいマンガが描けている+多額のカネ=勝ち」がベターであることはいうまでもないが,これを実現することは非常に難しい。しかし,ここを追求してやっと「小ヒット=描きたいマンガが描けている+食える程度のカネ=勝ち」に辿り着けるのだろうと思う。

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