2009年7月29日水曜日

善と偽善 「We Are The World」 - USA for Africa





敬愛するマイケル・ジャクソンさん(以下、愛を込めて「マイコー」)が星となって一ヶ月が経った。マイコーが星になる前からこの歌について書こうと思っていたが、今こそ書く時だろう。

マイコーは我々にたくさんの素晴らしい歌を遺してくれたが、その中でも最もマイコーらしく、素晴らしいと思う歌はこの「We Are The World」だ。

確かにこれはマイコーだけの歌ではない。しかし、マイコーは最も中心的な役割を果たした。レコーディングの日、この曲のためにアメリカンミュージックアウォードを辞退したことからも、その気合いの入れようが理解できる。


この曲のレコーディングの前、エチオピアから帰ってきたUSA for Africaの発起人、ボブ・ゲドルフさんはこういった。
・・・この曲で何百万人の命を救うためにも、彼らの命の値段を伝えます。7インチレコードたった1枚分です。・・・アフリカで起きているのは歴史的規模の犯罪で、加害者は欧米諸国です。倉庫には何十億トンもの食料が余っているのに飢えている人々に与えない。・・・暗くさせる気はありませんが、これを聞けば、皆さんの想いをこの歌に表現できると思います。・・・

ジェーン・フォンダさんはこういった。
・・・アフリカの悲劇を見過ごせません。見過ごすことは良心を捨てる事と同じです。・・・

こういう話を聞くと、中にはこう考える人が出てくる。
ほう。しかし、世界にある問題はアフリカの飢餓だけではない。他にも同じような問題がたくさんある。確かに彼らはこの飢餓問題には目を向けたが、他の問題には目を向けていない。しかも結局1回限りではないか。全てをボランティアでまかない、収益を全額寄付するといっても、所詮は偽善ではないのか?

これは過去の自分の事だ。


その後、この考え方は多分間違っていると考えるようになったが、さらにその後、明らかに間違っているとまで考えるようになったのは、マザーテレサのこの言葉のためだ。

「利己的な目的でそれをしたと」いう人、「邪魔立てする人」とは、まさに過去の自分の事ではないか。

確かに世界には解決すべき問題は山積みだし、USA for Africaは一回限りだったかもしれない。

しかし、そういう自分は世界のために一体何をしたというのだ?頭でっかちで批判ばかりして、結局何もしていないではないか。

マイコーと同じく中心的な役割を果たしたスティービー・ワンダーさんはこういった。
僕らの使命は生きる意味を見失った人を歌を通して癒すことだと思う。人のためになる歌を歌う事にあると思うんだ。

このような人に向かって、一体自分は何を言えるというのか。そういうのをShame on you、己を恥じよ、というのだ。

たとえ一つの問題だけでも、たとえ一回きりでも、そのとき彼らは純粋な愛をもち、飢餓の問題に目をそむけないでくれと世界中に訴えかけた。その影響力、インパクトは計り知れない。

その証拠に、自分は歌が完成してから20年以上も経った今、その影響でこのような文章を書いているのだから。

今ではこの歌を聴くたび、歌詞をみるたび涙が出る。それは別に悲しいからでも寂しいからでも、飢餓に苦しむ人たちに同情しているからでもない。

それはきっと、この歌が巨大な真実を歌っているからだと思う。

そして自分がそのことをやっと理解できるようになったからだと思う。