残念だけど「悪いのはAdobeじゃないよ。Appleだよ。」としか見えないなぁ | アドビ、アップル批判広告「自由奪うものを愛さない」 - 日経

日経10.05.14夕
・・・広告は「我々は創造性を愛する」「技術革新を愛する」などの言葉を連ねた後で「何をどう作るか、ウェブで何を体験するかを選ぶ自由を人々から奪うものを我々は愛さない」と結んだ。・・・iPhone・・・iPad・・・フラッシュ対応を拒否したことを痛烈に批判したもの・・・(シリコンバレー=岡田信行)


現物のショートバージョン
実際のものは現在Adobeのサイトでも見られる。
Adobe



原文を書き出してみる。「love」はハートマーク。

We love THE WEB
We love FLASH
We love HTML5
We love AUTHURING CODE ONLY ONCE
We love ALL DEVICES AND PLATHOMES
We love OUR 3 MILLION DEVELOPERS
We love FREEDOM OF CHOICE


ロングバージョン
ただ、上の現物は新聞などの広告と違い、ショートバージョンのようだ。新聞版はこちらで見られる。シリコンバレーにおられる日本人女性の方のブログのようだ。
アドビの全面広告:We Love Apple - Adobe | Long Tail World


日本でも結構関心
日本でも結構関心があるようだ。Yahooのコメント見ると、なぜかAdobe製品が高いだの安いだのの議論が多いような気がするけど。
Adobe、「We Love Apple」キャンペーンでAppleに反撃 創業者の公開書簡も(ITmedia エンタープライズ) - Yahoo!ニュース


逆アンサー画像
日本のTech Crunchではまだ記事になっていないようだけど、本家Tech Crunchでは、さらに逆にAppleがAdobeにメッセージを送る場合を想定したジョーク画像がのっていた。なかなか笑える。
Apple Responds To Adobe [Humor] - Tech Crunch

追記:10.05.17
日本のTech Crunchでも記事になってた。
AdobeのLove Appleに対するAppleからの返答(ジョークエディション) - Tech Crunch Japan


本家Tech Crunchの論調:ハズカシイことはやめれ
さらに本家Tech Crunchの論調。
Adobe, You Brought An Advertisement To A Gun Fight - Tech Crunch
・・・Adobe・・・Stop it, you’re embarrassing yourself.・・・It’s a strange passive-aggressive message・・・ Jobs’ aggressive-aggressive post・・・it won’t work・・・You’d have to be crazy to love Apple right now.・・・most people won’t have any idea what all of this is about・・・Make a killer product.・・・Flash is not that product. ・・・P.S. When you’re leaving notes all over the web trying to convince people how open your technology is, maybe leave out the Registered® Trademark® logos next time.

Adobeよ。自分を辱めるのは止めろ。多くの人々はこの広告が一体何を言いたいのかわからん。効果ない。ホントに「We love ALL DEVICES AND PLATHOMES」ならAppleに強烈なラブコールを送れ。Appleを認めさせるただ一つの道はAppleの製品にも無くてはならないと思わせるキラープロダクトを作ることだけど、それはFlashではない。

追伸:人々に自社の製品をオープンだと思わせたいなら、登録商標や商標のマークを無くしたらどうだい?

確かに、ここには「Adobe® Flash® technology」とある(^^);
これでFlashはオープンだと言えるのか?Rですよ。R。
Flash and Creative Freedom | Adobe

追記:10.05.16
Tech Crunch Japanでも記事が出た。
広告に争いを持ち込んだ「Love Apple」広告に効果はあるのか?


Adobeの公開書簡
とりあえず、Adobeの主張も聞いてみようじゃないか。Adobeの共同創業者のお二人の「公開書簡」というのはこれだ。
Our thoughts on open markets | Adobe
・・・We believe that consumers should be able to freely access their favorite content and applications・・・No company・・・should dictate what you can create, how you create it, or what you can experience on the web.・・・we launched PostScript® and PDF・・・We openly published the specifications for both・・・Adobe® Flash® technology・・・We publish the specifications for Flash・・・Who controls the World Wide Web? And we believe the answer is: nobody — and everybody, but certainly not a single company.・・・Chuck Geschke, John Warnock・・・

ユーザーは好きなコンテンツやアプリケーションに自由にアクセスできるべき。どんな会社もWEB上で何を作れるか、どのように作るか、どんな経験を得られるかを頭ごなしに決めるべきでない。PostScriptやPDFの仕様書を公開した。Flashでも同様だ。誰がWEBをコントロールするのか?我々は誰でもないと思う。それは皆だ。疑いなく、一つの会社によってではない。

まずポイントは、PDFには登録商標マークがないけど、AdobeとPostScriptとFlashにはあるということ。

問題の一つに、FlashでiPhoneのネイティブアプリを作れないというのがある。ただこれはクラウドかもしれないけど純粋なWEBではないので的外れではないだろうか。

もう一つの問題にiPhoneのSafariにFlashが搭載されていないというのがある。これはWEBなので、「どんな会社もWEB上で何を作れるか、どのように作るか、どんな経験を得られるかを頭ごなしに決めるべきでない」というAdobeの主張が適用されるべきと思う。ただ、問題はFlashが本当にオープンソースなのか?ということだ。もっと言えば、ひょっとしてAdobe自身がそうしていませんか?ということだ。

確かにFlashの仕様書は公開されている。
Publications | Open Screen Project

しかし、Flash Playerのソースコードは?ソースコードが公開されているというのを聞いたことがないし、今も見当たらない。どこかにあるのだろうか?もし無いとすれば、「Flashがオープンソースだ」というのは微妙で「仕様は公開されていてライセンスもフリーです」ということに留まるのではないだろうか。大体、実際にFlash Playerの仕様は誰が決めているのだろう。W3Cのような機関があるのだろうか。「Open Screen Project」がその機関?

疑問点は多い。

この書簡は要するに、先日AppleのSteve Jobs氏が公開した「Thoughts on Flash」に呼応しているわけだ。「Flash」と名指しされたのだから、黙っているワケにもいかなかろうて。
琴線探査: 良い悪いは別として、とにかくJobs氏はWEB界における政治判断を下したんだなぁ | Thoughts on Flash - Steve Jobs


結論
結論としては、Tech CrunchのMG Siegler氏がおっしゃるように、ホントに「We love ALL DEVICES AND PLATHOMES」ならAppleをDISるのではなく、逆に今こそAppleに強烈なラブコールを送れ!に尽きる。

でなければ、「悪いのはAdobeじゃないよ。Appleだよ。」としか見えないね。

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