権利処理,民間で自主協定を 松田政行 青山学院大学客員教授・中央大学客員教授

日経09.10.15朝
・・・著作権法に一般制限規定を導入・・・権利者団体や日本経団連などを中心に慎重論も根強い・・・彼らは権利者が適法ビジネスを組成することこそ著作権法の目的だという・・・一般制限規定の導入論者は,一般制限規定導入で市場が大きく拡大し著作者の創作の保護にもつながるという・・・また導入論者は,日本の・・・サービスが米国に劣後しているのは,一般制限規定がないからだと主張する・・・日本企業の萎縮は著作権法が原因ではない・・・一般制限規定で萎縮が解消するはずがない。日本の一般的企業は,わずかでも違法を含む,または違法行為に乗ったビジネスモデルの構築を回避するからだ。・・・導入論は,権利者と尊法起業を市場から排除することになる・・・この処理問題は,一般制限規定や特別法による強制によるべきではない。・・・ネット上に産業基盤を構築するためには,権利者,利用者,システム提供者(これらの団体)問うが協議をして,団体間において協定を形成し,これを通常の権利処理モデルとしたうえで,ここの権利処理は契約によるのが望ましい。・・・NHKと実演家団体はこのこの協定方法によって,大量権利処理の民間制度を創設した。・・・この協議・協定・契約をサポートすることが産業政策として最も重要な視点となろう。・・・

昨日の城所教授は導入論者だったが,松田教授はフェアユース慎重論者のようだ。

城所教授の話では,著作権法の目的は「文化の発展に寄与することにある」という話だったが,権利者団体や経団連などは「適法ビジネスを組成すること」がその目的だという。どちらが正しいのか?それとも両方正しいのか?

著作権法 第一条
この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。

うーむ。これだと「文化の発展」が目的と言えそうだ。少なくとも産業やビジネスの発展を直接的な目的としてはいなさそうだ。となると,著作権をビジネスに利用しようとしているのは権利者の方なのかもしれない。

フェアユースを導入しても企業は違法となることを恐れて自主規制するので萎縮が解消することはなく,得をするのは無法者だけだ,ということらしい。しかし,サービスを構築する人がその自主規制をする必要ができるだけ無いようにフェアユースが必要なのではないのだろうか?

「多分問題ないと思うのでとりあえず使うけど,もし問題があったら言ってください」というGoogle式の方法でなく,教授が提案されているように協議・協定・契約ありきではあまりにも遅い。特に数が多い場合にはほぼ対応不能になるだろう。

これだと権利物の露出がどうしても減るわけで,権利ビジネスを守ることはできるかもしれないが,はたして文化の発展に寄与できるだろうか。結局,権利ビジネスの発展も妨げるような気がするが。

大体,いちいちそんな協議や契約ができるのは大きい組織だけだ。個人や零細企業ではほぼ不可能だろう。結局,違法行為は減らないのではないだろうか。

やはり協議や契約にまかせるのではなく,できるだけ問題が起こらないように,そして問題が起こった時にどう対処するかも規定した,誰もが理解し易いシンプルな法律を新しく作る必要があると思う。

とにかく,著作権法はムズカシすぎる!

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