社会の根幹揺さぶる自殺 東京工業大学准教授 上田紀行

日経09.09.13朝
・・・特殊な人が自殺をするのだと、原因を全て個人の資質に返す見方は既に破綻・・・清水康之(NPO法人・自殺対策支援センター・ライフリンク代表)・・・清水は「経済的な問題が自殺の大きな要因になっていることは間違いないが、それが自殺問題の本質ではない」と言う。・・・自殺は社会構造全体の問題だと言う・・・私は・・・欧米仕様の過酷な評価システムを導入すれば、他人からの評価によって自己重要感を築いている日本人の心は破壊され尽くすだろうと指摘したことがある・・・日本的集団性に内在するいじめや排除といった負の構造に正当性を与え・・・河西千秋は「自殺予防学」・・・日本の失業率と自殺者数が高い関連を見せるのは、社会的サポートが弱いことを意味していると述べる。・・・「自殺と向き合う」・・雨宮処凛は、ギリギリまで追いつめられた若者達には、精神論よりまずは5万円でも渡すことが自殺防止になったと語る。・・・自殺問題は・・・日本社会の根幹に関わる問題だ。生も死も全ては自己責任だと、自らの命を絶つ同胞を見捨てて、何の幸福があろうか。自分自身にも忍び寄る死の不安を感知しつつ、この問題の解決に全力を挙げること。それはこの国の真の世直しとなるだろう。

清水さんはカネは自殺問題の大きな要因ではあるが本質ではなく、社会構造全体の問題だという。

清水さんがその「社会構造全体」という言葉で何を指しているのかは分からないが、何にしてもそれを全て正す事は難しいだろう。

現実的には、雨宮さんがカネを渡すことでとりあえず自殺を防ぐ事ができたといっている事からも、やはりカネが直接的な問題解決の鍵だと思う。

ところで、アメリカではちょうど今、保険改革の問題で「大きな政府はいらない」「オバマ大統領は社会主義者だ」と声が上がっているようだ。

「人生は自己責任である」という考え方なのだろう。日本もアメリカと同じように自由主義の国だし、この考え方は個人的にも正しいと思っている。

しかし、上田教授がいう「生も死も全ては自己責任だと、自らの命を絶つ同胞を見捨てて、何の幸福があろうか?」という指摘も正しいと思う。

徹底的な自己責任を押し進めると、格差は確実に広がっていく。その結果、どうしてもカネを得られない者は完全に追いつめられ、絶望し、自殺する。ある者は漠然と社会に対して強い憎しみを抱いていく。

その一つの例が、秋葉原通り魔事件のような無差別殺傷犯罪なのではないだろうか。この事件では実際に死者も出た。他人事ではなく、身近な脅威なのだ。

これほど絶望して自殺する者が多く、脅威がすぐ身近にある社会が幸福な社会と言えるだろうか。

容疑者は犯行前に1000回ほども掲示板に書き込みをしていたそうだ。誰かに止めて欲しい、助けてほしい、と考えていたのではないだろうか。

情けは人のためならず。理由もなく家族を失わないためにも、将来の若者を絶望の淵へ追いやらないためにも、社会的サポートが必要だ。そのためには、やはりカネ、税金が必要だ。

日本は、社会的サポートを行なうためのカネをなんとか捻出しなければならない。そのためにはまず政治・行政の大掃除だろう。政権交代でその一歩を踏み出したと信じたい。

そして今、自分ができるせめてもの事は、できるだけ稼いで、しっかりと税金を納めていくことだろう。

税金はきっちり納める。だから政治と行政には是非、信頼に足る仕事をしていただきたい。

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